遠隔臨場における材料確認の項目・留意点は?
遠隔臨場を解説
材料確認はすべて遠隔臨場で行っていいのか?
確認項目は決まっていますが、一定のルールのもとで多くの材料確認が遠隔臨場可能となっています。
遠隔臨場における材料確認とは
国土交通省が公表している「建設現場の遠隔臨場に関する試行要領(案)」には、材料の現物確認について、ウェアラブルカメラやWeb会議システム等による監督職員等が十分に材料確認を行えると判断した場合には、従来の現場臨場に代えて遠隔臨場で材料確認を行うことができることが明記されています。
なお、現場の状況や通信状態等の理由で、遠隔臨場では十分な材料確認が行えないこともあるでしょう。監督職員等が遠隔臨場では材料確認が困難と判断した場合には、受注者にその旨を伝えた上で、まずは機器等の調整を図ります。それでも確認が困難な場合には、遠隔臨場から従来の現場臨場に切り替えて材料確認を行わなければなりません。
参照元:国土交通省大臣官房技術調査課|建設現場の遠隔臨場に関する試行要領(案)(https://www.mlit.go.jp/tec/content/001397221.pdf)
遠隔臨場の材料確認項目
遠隔臨場により材料確認の十分な情報を得られる場合には、現場臨場に代えて遠隔臨場で各項目の材料確認を行うことができます。
遠隔臨場による材料確認には確認項目が定められています。その一例として、工場製作工(共通)において鋼材にJISマーク表示のないものについては、ウェアラブルカメラ等の機器を仕様して以下の確認作業を行います。
- 鋼材に製造ロット番号等が記され、かつ、これに対応するミルシート等が添付されているものについては、ミルシート等による品質確認及び現物による員数、形状寸法の確認
- 鋼材の製造ロット番号等が不明で、ミルシート等との照合が不可能なもののうち、主要構造部材として使用する材料については、機械試験による品質確認及び現物による員数、形状寸法確認による材料確認
- 上記以外の材料については、現物による員数、形状寸法確認
参照元:国土交通省大臣官房技術調査課|建設現場における遠隔臨場に関する実施要領(案)(https://www.mlit.go.jp/tec/content/001473624.pdf)
材料確認における留意点
材料確認における留意点について、近畿地方整備局企画部が公開している「土木工事書類作成マニュアル(案)[改訂版]」を参照・引用してご紹介します。
(1)材料確認書について
・材料確認書を事前に監督職員に提出する。
・確認は、搬入毎、又は使用前にまとめておこなってもよい。
・確認は一部の材料かサンプルと品質証明資料等を基に、要求された品質及び規格に適合しているか確かめるものであり、規格及び型式毎に1 回以上提出する。
・搬入数量は受注者が記入し、確認欄( 確認年月日,確認方法,合格数量及び確認印)は、確認を行った監督職員等が記入する。
・備考欄は、確認において指示を受けた事項及び材料の品質、規格等で特記すべき事項があれば記入する。
設計図書で数量の確認を行うとされたもの以外は全数確認の必要がない。
(搬入数量及び合格数量は指定された場合のみ記載)
(2)材料確認における監督職員等の臨場
監督職員は、受注者から提出された材料確認書により、臨場し、材料確認を行う。受注者は、やむを得ず監督職員等の臨場確認が得られない場合は、その外観及び品質証明書等を照合して確認した資料を監督職員へ提出し、机上確認を受けることができる。なお、監督職員等が臨場した場合の写真添付は不要とする。
材料確認の効率化以外にもさまざまなメリット
遠隔臨場による材料確認について、その概要や確認項目の例、材料確認における留意点などをご紹介しました。遠隔臨場による材料確認が常態化すれば、従来よりも大幅な作業効率化へとつながります。人材不足問題の緩和や働き方改革の推進、感染症対策などにもつながることから、現場では急速に導入が進んでいます。
