工事現場の生産性向上
遠隔臨場を解説
建設業の生産性をもっと上げるにはどうすればよいのだ?
他の業界と比べ建設業で遅れているのはICT技術の活用。まずはこれを進めることです。わかりやすく技術と効果・事例を紹介しましょう。
建設業の生産性向上のためにできることは?
ICT技術の全面的な活用
国土交通省はICTの全面的な活用(ICT土工)により建設生産システム全体の生産性向上を目指すi-Constructionに取り組んでいます。企業の経営環境改善も視野に、従来は施工段階の一部だったものを調査・設計から施工・検査、維持管理・更新までICT技術を導入することでプロセス全体の最適化を図ります。
ICT建設機械による施工
建設業の生産性向上で活用可能な技術の一つにICT建設機械による施工があります。これはブルドーザやバックホウなどの3次元マシンコントロール技術により掘削、整形などの作業を行うものです。3次元(3D)データを活用しながら施工のガイダンスを行うため3D-MGとも呼ばれ河川土工や道路土工での運用が可能です。
三次元設計(CIM)の活用
CIM(onstruction Information Modeling)は2012年に国土交通省により提言された建設業務の効率化を目的とした取り組み。建築分野に倣って土木分野でも三次元設計を導入することで道路、下水道、鉄道、電線路、発電用ダムなどの施工における生産性を向上させることを目的とします。
参照元:【PDF】国土交通省 資料(https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000648822.pdf)
建設業の生産性向上の事例
ICT土工の活用効果
- ICT機器の使用により、土工の日数が74日から61日に短縮できた。
- 丁張設置作業がなく、3Dデータを建設機械へ取り込むだけで施工可能であり、施
工中に残掘削深も把握できる。 - 作業員人数の省力化ができ、生産性向上に繋がった。UAVを用いることで、出来形計測を一人で行うことができた。
ICT舗装工の活用効果
- 起工測量~出来形等の施工管理のプロセスについて、従来と比較し作業日数が7日程短縮となった。
- これまで測量(丁張・出来形)等の施工管理に要した人員を大幅に削減。
- 若手オペレーターでも熟練者と同等の仕上りが確保される為、若手の育成につながる。
ICT浚渫工の活用効果
- 従来はマニュアルで行っていた解析~図面作成作業がソフトウェアで作成が可能になり作業日数が短縮となった。
- 測量装置と連動するGNSS測位装置により、陸上で誘導する測量員が不要となり、省力化と生産性の向上に繋がった。
- 他船舶の下の海底面も測深が可能なため、測量のための作業船の移動が不要となり、移動作業に伴うリスクが無くなった。
遠隔臨場の活用で現場の生産性向上に関するアンケートを実施
今回、建設業勤務かつ建設現場で遠隔臨場の経験がある109名を対象に建設現場での遠隔臨場に関するアンケート調査を実施しました。
遠隔臨場について、気になる方はぜひ参考にしてみてください。
遠隔臨場を導入した理由について

対象:「建設現場で遠隔臨場の経験がある」と回答した20歳以上~65歳以下の男女109名
期間:2023年5月8日~5月19日実施(調査機関:Fastask)
「遠隔臨場を導入した理由を教えてください」という質問でアンケートを実施しました。
アンケートでは「時間効率を上げるため(移動時間減少など)」と答えた方が50人と一番多く、次に「作業の軽減(事前準備の対応など)」と答えた方が30人、「コスト削減のため」答えた方が36人という結果になりました。
建設業は人材不足などのこれから克服するべき課題を抱えている企業も多く、作業の軽減や時間効率を上げて生産性を高める狙いがあると考えられます。
遠隔臨場を導入しての効果について

対象:「建設現場で遠隔臨場の経験がある」と回答した20歳以上~65歳以下の男女109名
期間:2023年5月8日~5月19日実施(調査機関:Fastask)
「遠隔臨場を導入しての効果を教えてください」という質問でアンケートを実施しました。
アンケートでは「時間効率が良くなった(待ち時間などの減少)」と答えた方が47人と一番多く、次に「作業の軽減した(事前準備の対応など)」と答えた方が30人、「作業が増加した(事前準備の対応など)」答えた方が33人という結果になりました。
アンケートでは、「時間効率が良くなった」、「作業が軽減した」と回答する方が多い一方で、「作業が増加した」という回答もありました。遠隔臨場では機器の操作に慣れていない場合、やり方がわからず戸惑うこともあると思いますので研修などを行いサポートできる体制を作ることが重要です。
今できることは?
工事現場の生産性向上のためにできることは多そうだが、優先順位をつけるとしたら?
最優先は、2022年6月から義務化された遠隔臨場の導入です。人手不足の解消に加え、移動や書類の削減、安全な作業の実現にもつながります。
遠隔臨場とは遠隔地から臨場し、検査確認作業を行うやつだな。私の現場も遠隔臨場を導入するんだ。具体的になにを準備すればいいのだ?
遠隔臨場についての効果は計り知れません。詳しく解説していきます。
遠隔臨場の活用効果とは?
- 現場までが遠いため、監督職員の移動時間削減ができた。重要構造物で立会回数の多かったため。より効果が大きかった。
- 監督職員を待つ時間(拘束時間)がなくなり、現場工程がスムーズに進んだ。
- 立会・段階確認以外にも、社内の現場巡視・検査にも活用し、移動時間の短縮や業務の効率化を図ることができた。
引用元:【PDF】国土交通省「建設現場における遠隔臨場 事例集」(https://www.mlit.go.jp/tec/content/001473626.pdf)
