2024年から本格スタートする「建設業の働き方改革」に向けてやらなければならないこと
遠隔臨場を解説
働き方改革の波が建設業にも浸透し始めている。
はい、一般企業よりも少し遅れてはいますが建設業の働き方改革は国土交通省が積極的に進めています。ここではその概要についてご説明します。
うむ。遠隔臨場がどう関わるのかも教えてもらいたい。
建設業の働き方改革の概要
建設業は長時間労働の常態化や職場環境が整っていない現場が多いことが課題となっています。3K(きつい・きたない・危険)のイメージが強く、特に若年労働者が離れてしまい就業者全体の高齢化も進んでいます。
国土交通省はこうした課題を解決すべく、建設業の働き方改革を進めています。一般企業の時間外労働の上限規制は2019年または2020年から始まっていますが、建設業でも2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されます。
| 通常の時間外労働の上限規制 | 建設業の時間外労働の上限規制の取り扱い | |
|---|---|---|
| 施行時期 | 大企業は2019年4月から 中小企業は2020年4月から |
2024年4月から |
| 規制内容 |
|
一般企業と同じ通常の上限規制が全て適用される。 a. 1か月100時間未満 |
参照元:【PDF】国土交通省「建設業働き方改革加速化プログラム」(https://www.mlit.go.jp/common/001226489.pdf)
2024年までになにに取り組まなければいけないのか
長時間労働の是正
公共事業における週休2日工事の件数と実施団体を拡大させ民間工事でもモデル工事を試行。公共工事の週休2日工事において労務費等の補正を導入します。また週休2日を達成した企業を積極的に評価するなど週休2日制を後押し。現場の負荷を少なくするために各発注者の特性を踏まえた適正な工期設定の推進が求められています。
給与・社会保険
発注関係団体・建設業団体に対して労務単価の活用や適切な賃金水準の確保を要請したり、建設キャリアアップシステムを稼働し、全ての建設技能者(約330万人)の加入を推進(2022年12月時点))。建設技能者の能力評価制度を策定し専門工事企業の施工能力等の見える化を進めるなど、技能や経験にふさわしい処遇(給与)の実現を目指します。
生産性向上
建設業許可等の申請手続の電子化、IoTや新技術導で効率的な工事書類を作成するなど仕事の効率化を徹底。またi-Construction大賞の対象拡大や建設リカレント教育の推進など生産性の向上に取り組む建設企業を後押し。さらに人材・資機材の有効活用のため技術者配置要件の合理化や施工時期の平準化も進めます。
参照元:【PDF】国土交通省「建設業働き方改革加速化プログラム」(https://www.mlit.go.jp/common/001226489.pdf)
建設業のICT化
情報やコミュニケーション技術を使用して業務の効率化を可能にするのがICT。建設業では人材不足や3K職場のイメージ、生産性が向上していないといった課題を背景に積極的なICT化が求められています。ネットワーク/システム化による情報共有・管理や安全・健康管理、人の移動の管理などが考えるべきポイントです。
工事現場の生産性向上
建設業の生産性向上のために工事現場でできることは、ICT技術の全面的な活用、ICT建設機械による施工、三次元設計(CIM)の活用です。国土交通省の資料にも、ICT機器の使用による土木日数短縮やICT舗装工活用で施工管理の人員を削減、遠隔臨場の活用により移動時間がなくなり効率化したなどの事例があります。
建設業の人手不足解消
建設業が人手不足になる理由として考えられることは、若年層が確保できず高齢化が進んでいる、リーマン・ショック時の大量離職、長時間勤務など厳しい労働環境などがあります。これらを解消するためにはファイルや図面のクラウド共有や打ち合わせのオンライン化、遠隔臨場の活用、BIMツールの導入などが必要になります。
建設業とSDGs
17のゴール目標を策定したSDGs。経済・社会・環境の面で、持続可能な社会を構築するために、企業が求められている取り組みです。建設業は、まちづくりを担っています。経済・社会・環境への影響が大きいため、SDGsへの取り組みはマストです。SDGsに取り組めば、企業イメージが向上し、消費者から選ばれ、投資や融資も受けやすくなります。建設業における遠隔臨場は、SDGsの取り組みのひとつです。人の移動が少なくなれば、CO2削減につながります。また、社員への好影響もポイントです。長時間労働が解消され、社員が働きがいを感じられる会社になれば、いい人材の確保にもつながるでしょう。
